慢性腎臓病と歯周病 全身疾患と歯周病の関係
やまのうち歯科医院の山之内です。
バーミンガム大学の研究チームが 発表した論文によると、
歯周病と慢性腎臓病が影響し合うことが判明しました。
いままでも、歯周病の炎症が重症化すると腎機能が低下することなどが分かっていました。
歯周病と慢性腎臓病を併発している患者さんは、生存率が低下することも分かっていました。
歯周病の炎症が10%増加すると、腎機能が3%低下するそうです。
腎機能が3%低下することにより、5年で腎不全となるリスクが32〜34%増加する可能性があります。
また、腎機能が10%低下すると、歯周病の炎症が25%増加すること判明しました。
また、歯周病と慢性腎臓病が双方向的に影響を及ぼし合う機序に、活性酸素と抗酸化防御機構のバランスの崩れが関与していることも分かりました。
これは歯周病と慢性腎臓病が双方向的に影響を及ぼし合うことと、その機序を解明した最初の論文となります。
歯周病の炎症をわずかに減少させるだけで、腎機能にとって良い影響を与えることが示されました。
日常の口腔清掃を通じて、歯周病の炎症を10%減少させるだけで、
あなたの健康が良好になる可能性が高くなります。
2011年時点で、日本国における慢性腎臓病の患者は1,330万人と言われており、成人の約8人に1人と言われています。
2016年の歯科疾患実態調査によると、
4mm以上の歯周ポケット保有者の割合は45歳以上で過半数を占めています。
65歳未満の成人では概ね15%前後、65歳以上の高齢者では10%強の人が歯周関連の自覚症状を有しています。
歯周病は自覚症状がないことのほうが多いので、実際はこれ以上の患者さんがいらっしゃると思われます。
慢性腎臓病の患者と歯周病患者が常に一致するわけではありませんが、
慢性腎臓病の患者に対して口腔清掃指導を行うなどの対応は、
非常に安価で効果的かもしれません。
透析患者さんの歯周病や口腔内の状態が良好でない傾向が高いとの
透析を行っている医院から言われたことがあります。
歯周病は、お口だけでなく全身の病気の予防にもなりますので、
心配な方は、歯医者さんに行きましょう。